私たち日本人の食を支えてきた、米・麦・大豆。
これらの「主要農作物」を安定供給するために、優良な種子の生産・普及を「国が果たすべき役割」と定めていたのが種子法(主要農作物種子法)です。
この法律の下、日本では、各都道府県で地域に合った多様な品種が開発され、良いものを奨励品種として農家に栽培を薦め、その種を安く分けることを義務付けていました。
しかし、国はこの法律の存在が「民間企業の参入を阻害している」として、突如、種子法の廃止を閣議決定。
テレビ、ラジオ、新聞ではほとんど報道されず、十分な審議も農業関係者への説明もなく、国民に気づかれないように可決、成立させてしまいました。
これにより、種子法は2018年3月末日に廃止されます。
まだこの事を知らない農家もたくさんいます。
米、麦、大豆は私たちにとって主食や、調味料の味噌、醤油の原料になる重要な穀物です。
国や都道府県の責任を定めた法律がなくなり、民間企業任せにして、果たして日本の食をささえられるでしょうか?
多種多様な米に代表される日本の食に、大きな影響を与える可能性があります。 これは農家に限らず、消費者にとっても大きな問題です。
種子は、先祖代々、多くの人たちが自然とともに育んできた“共有財産”です。
種子がなければ私たちは生きていくことができません。
その共有財産を守る法制度が不可欠です。
主要農作物種子法を廃止するとは、国が日本の種を守ることをやめるということであり、次のようなことが懸念されます。
種子法が廃止されると、各自治体でこの事業につける予算の根拠を失い、今までのような品種の改良や管理ができなくなる。農業試験場の存続も危うくなる。
これまで先人が長年にわたり蓄積してきた種子情報が、外資も含めた民間企業に払い下げられる。
種子品種の多様性が失われる。現在、日本では300品種もの米が作られています。また特定の地域でしか栽培されていない品種の米は、地域振興の看板にもなっています。 このように、地域や気候に合った品種の種が供給され続けてきたのも、公的な制度や予算などの支えがあったからこそ。
しかし、民間企業がこれだけの多品種を維持するコストや手間を負担することはできるでしょうか?利益を優先すれば同じ品種を効率的に広めることになるでしょう。種子法の廃止とほぼ同時に成立した農業競争力強化支援法には、「既存の多数の銘柄を集約する」という方向が示されていますが、種子の多様性は地域や文化の多様性にも直結する問題です。
単一の種子が大量に生産されるようになれば、病害虫の発生などで、一気に打撃を受けるリスクも高まります。気候変動が激しくなる中、被害をより大きくする危険性さえもたらします。
民間が参入しても、種は安くなるのではなく、5倍から10倍高くなると予想される。これまでは国が予算をつけていたからこそ、安価での供給が可能だった。種代が高値になったら日本の農家は続けていく事ができない。
多国籍企業による影響が強まる。これまでの公共品種の種子が徐々に姿を消し、将来多国籍企業の種子しか選べなくなる事態が起きる可能性も否定できません。そうなれば、農家は企業が指定する通りの農業をせざるを得ず、多国籍企業が種子から食品の流通までをすべて握る社会へと変わっていくでしょう。農家と消費者の関係は切り離され、産直や生協も存在意義を失ってしまうかもしれません。
公共品種を守る制度は不可欠。それなしには、私たちの食がますます多国籍企業によって左右されるようになり、私たちは決定権を失うことになりかねません。
安心できる食を守るためにも、そして、未来の世代にしっかりと種子を手渡すために、全国各地で取り組みが広がっています。
学習会を開いて仲間を増やす、地方議会、知事に意見を出して都道府県を動かす、公共品種を守る法律を議員立法で作ろう、など。
私の働いているNPO法人「メダカのがっこう」もこうした活動に参加しています。 下記にその活動写真を紹介させていただきます。
ご興味のある方は、声をかけてください。
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