〜油搾りに興味を持ち、自分たちの手で育てた胡麻から油を搾るまで4年間の顛末記〜
【2014年】
あるテレビ番組で椿の実から油を搾るのを見て「やってみたい!」と思い、トコトコ農園のリーダーMさんに相談してみたところ、ふたつ返事で搾油機を作ってくれたことがすべての始まりでした。(写真@)
その年の秋、手始めに向日葵の種から油を搾ってみることに…
300g分の殻を剥き搾油機にかけてみるとジワ?っと染み出してきた黄金色の油に歓喜の声を上げた、のも束の間、ジャッキが荷重に耐えられず破損。やっぱり素人には無理かと諦めかけました。
すると今度は、Mさんが荷重4トンの油圧ジャッキを購入してくださり、その他の不具合も改良し、来秋の椿油搾りに向けて準備を進めて行くことになりました。(写真A)
【2015年】
春先から散歩途中に椿の木をチェック、実が熟したころに地道に拾い集め、かなりの実を集めることができました。
そして実の中にある茶色の種の外殻をひとつずつ外し、取り出した黄色い実をミキサーで砕き下準備完了。(写真B)
前回のひまわり油の失敗から改良を加えパワーアップした搾油機が大活躍です。
(写真C)
緊張と不安の中、搾油機に準備した実をセットし数回ジャッキに圧をかけると、ジュワ?ッと油が滲み出てきます。
想像以上の量に歓声をあげながら、セットしては搾る作業を何回も繰り返すこと6時間。
黄金に輝く椿油(写真D)は、サラサラでほとんど癖もなく、色々な用途に使えました。
しかしこれまでの手間隙を考えると、油を搾るのは本当に大変だと実感しました。
【2016年】
昨年の油搾りが成功したので、今年は農園の実験農場というシステムを利用し、自分たちで育てた作物から油を搾る試みをしました。
作るのは胡麻、荏胡麻、紫蘇。有志7名で始まったプロジェクト。その名もチーム「搾れ〜ゴマ!」活動開始です。
4月の土作りから始まり、一粒一粒種をまき、毎週末の雑草とり、成長を見守ること約半年。(写真E)
途中、台風上陸の被害で収穫前の作物が倒れたり、秋の長雨で収穫が遅れるなどアクシデントもありましたが、胡麻は満足の大収穫。
しかし、収穫時期を逃した紫蘇の実は1キロ、荏胡麻は100グラムと思うほどの収穫は得られませんでした。
収穫後は脱穀した胡麻を全員に振り分け、選別→洗い→ゴミ取り。このゴミを取り除く作業の地道なこと。
どれだけの時間を費やしたのか思い返すと笑うしかありません。
晩秋。いよいよ、胡麻の生搾りに挑戦。
胡麻は油分が多いので簡単に搾れるかと思いきや、加熱しないそれは非常に固く加圧してもなかなか染みでてきません。
2キロを搾り終えるのに要した時間は約5時間。搾れた量は200cc。労力からすると、とても貴重な油です(写真F)
搾りたての胡麻の生油は、香ばしさはなく、かすかにピーナッツの風味がするサラッとした油でした。
【2017年】
今まで非加熱の油に拘ってきたのですが、今回は胡麻を炒ってから搾油を試みました。
フライパンで胡麻を炒り、すり鉢ですり搾油機にセットしたら準備完了。
ジャッキが動かなくなるまでじっくりと圧をかけると、前回の生胡麻とは違い勢い良く油が染み出てきます。(写真G)
セットしては搾るを繰り返しも板についてきて、もはや家内制手工業。8時間を費やして5.7kgの胡麻から972gの油を搾ることができました。味は市販のものと違い香ばしさはなく胡麻の風味が強い味。
また、搾った後の搾りカスは油分はないですが、すり胡麻と同じ用途で使えます。
(写真H)
苦労して育てた胡麻も余すことなく活用でき大満足の結果となりました。
以上、自分達の手で育てた植物から油を搾ってみた4年間の記録になります。
今まで買うことが当たり前だった油をいちから手作りする、このような貴重な経験ができたのもMさんをはじめトコトコ農園で楽しい仲間に出会えたからだと思います。
『この”黄金色に輝く油”をかけがえのないものにしたのは、私達が、”油を搾る”ために費やした時間だったんだ。』
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