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トコトコ農園通信

2016年1月20日

私の家庭菜園

山上 英明

私はトコトコ農園に学ぶ傍ら、個人的にも畑を借り、家庭菜園を実践しています。


定年後は田舎暮し(古民家にて自給自足の家庭菜園)を! 農業をやるからには無農薬・無化学肥料栽培、と心に決めていました。家庭の事情で田舎暮しは断念しなければなりませんでしたが、家庭菜園のほうは続けています。


私の無農薬・無化学肥料栽培へのこだわりは、中学・高校時代の新聞紙上記事からの影響があります。この時期

神武景気 1954年(昭和29年)12月〜1957年(昭和32年)6月

岩戸景気 1958年(昭和33年)7月〜1961年(昭和36年)12月

に代表される戦後高度成長時代の好景気の渦中にあり、近代化が急速に進み生活水準も戦前並み以上に向上致しました。経済優先の反面、生活環境は悪化。昨今の中国PM2.5並みの公害・環境汚染が首都圏・臨海工業地帯を覆い、水俣病・イタイイタイ病・四日市ぜんそく、等々に大勢の人々が苦しみ悩んでいました。「東京の空には陽が射さず、どんよりと霞(スモッグ)がかかっている」・・・と。


アメリカでも第二次世界大戦後、経済成長の結果、大量生産・大量輸送・大量消費・大量廃棄という地球規模の環境問題が生じ、更に新しい公害である光化学スモッグが発生。農業分野においては、農業生産の向上と安定のためDDT等農薬の空中散布をはじめ、化学肥料の過剰な使用が生態系への深刻な影響や、農薬における中毒事故が多発していました。


そんな時期に、DDTを始めとする農薬などの化学物質の危険性を

寓話“鳥たちが鳴かなくなった春”
---自然は沈黙した。鳥たちは、どこへいってしまったのか? みんな不思議に思った。鳥がいたと思っても死にかけていた。春が来たが沈黙の春だった。---

という出来事を通して訴えた作品『沈黙の春』レイチェル・カーソン著(1962年)が出版されました。

作中では、第二次世界大戦後に化学工業の急速な進歩により生み出された殺虫剤(DDT等---有機塩素系、マラソン等---有機リン系)や除草剤を「死の霊薬」として概説を行い、除草剤には遺伝子の突然変異を誘発するものもあり、放射線に勝るとも劣らぬ恐ろしい圧力を遺伝子に加えるのだと、その化学物質の持つ危険性について解説しています。

生産性の安定のために農薬は必要不可欠な存在でした。

@すぐに効くこと(即効性)・・急性毒性が強い

A持続性があること・・作物や土壌に長く残留し分解されにくい

一方で化学農薬は危険な存在でもあったのです。レイチェル・カーソンは、過度な使用は生態系を攪乱し、また残留農薬による食品安全性への危惧を招くと、警鐘を鳴らしました。

この著書の発表をきっかけに、アメリカ政府はケネディ大統領科学諮問委員会を設立(1963年)、さらに環境保護庁(EAP)の設立(1970年)へと、有害物質だけでなく、広く環境保護運動が盛り上がり「アース・デー(地球環境について考える日)」(1970年)の発端にもなりました。


一方我が国においては『複合汚染』有吉佐和子:著(1975年)により農薬以外にも工場廃液や合成洗剤などの複合汚染の問題を取り上げ、化学物質による環境汚染の深刻化を国民に伝えることになり、環境保護運動を推進・擁護することになりました。


私は小学校在学中にDDTを頭から真っ白になるほど散布されました。戦後、占領軍が害虫駆除のために始めたことで、今思えば無茶苦茶な方法で散布されたのです。

私の生まれ育った北海道(小樽市)の農耕の原動力は馬でした。山羊・鶏なども飼い、家畜の餌となる牧草を蒔き、馬の糞尿から堆肥を作り、それが自然と地力を維持したリサイクル(循環型農業)につながっていました。

一方で、高度成長に伴い機械化(トラクターの登場)と同時に化学肥料・化学農薬技術も進み生産性は飛躍的に拡大しましたが、過度な化学肥料・農薬の投入による残留物が畑地の地力を衰えさせました。


そこで、見直されてきているのが有機栽培だと・・・農薬や化学肥料に頼らない安心・安全な野菜を育て食べたい・・・これを実践してみようと心に決めました。

有機栽培とは『化学肥料や農薬を使わずに、畑全体の環境バランスを保ち、自然の力を借りて野菜を育てる栽培法』です。

有機栽培の基本

@ よい土をつくる

A 適期につくる

B 品種を選ぶ

C 輪作の工夫

D 混植の工夫

E 多品目を作る

F 生態系を生かす

G 7割の収穫を目標に


いろいろ試行錯誤している時に 知人から比嘉照夫琉球大学名誉教授が開発したEffective Microorganisms(EM 有用微生物群)を紹介されました。菜園の基本は「よい土を作る」ことにあります。

EMとは発酵力の強い乳酸菌、植物に有効なビタミンなどの物質を作る酵母、植物の生育に役立つ有用物質を作る光合成細菌を主体とし、安全で有用な微生物を共生させた多目的な微生物資材です。特殊な微生物ではなく、自然界に生息分布している微生物の中から、自然界を浄化する働きや物質の生合成を行う働きを持つ有用な微生物を、人間の手によって複合培養した液体です。


現在、EMを活用して、家庭内の生ごみ(野菜くず)発酵堆肥、畑の作物残渣や雑草等の野積み堆肥、「EMボカシ」(EMで有機物(米糠・油かす・魚粉等)を発酵させた物)を作り、これらを畑に鋤きこんでいます。また水遣り時にはEM活性液や希釈液を必ず規定の倍率に薄めて散布しています。

EMを施用することによって土壌中の多種多様な微生物の蘇生を計り有用微生物を定着させる土づくりに努力をしています。目標は里山にみられるような、ふかふかして水はけがよく、かつ保水性のある土づくりです。


栽培技術は一切持ち合わせていませんでしたので、平成25年3月からトコトコ農園に入会し、畝作り・種蒔き・移植・農業資材の使用方法・作付け暦・誘引の仕方等を学びながら、家庭菜園で実習しています。

市販の堆肥や肥料は一切使用していませんが、平成27年はまずまずの収穫を得ることが出来ました。


私の家庭菜園ではこれから

・旬の野菜栽培・・・現在は季節を問わずいろんな野菜が店頭に並んでいますが、四季折々にその時でなければ味わえない野菜作り

・自家採種・・・有機栽培に適した品種選び・固定種か在来種を母本とした自家菜園用の採種にトライ

・雑草との共生・多種多様な生物との共生

・緑肥の活用・・・マメ科植物(太い根を縦に垂直に伸ばし排水を改善してくれます)、イネ科植物(細かい根を放射線状に広く伸ばして、土を柔らかくほぐしてくれる働きがあります)

・菜園全般の観察と、土や作物との会話

等に挑戦したいと思っています。


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仲間と語らいながらカブの種蒔き。右側が著者の山上さんです。

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颯爽と、畝作りに励みます

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穴掘りだって、誰にも負けません

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シイタケの榾木を運んでいます

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大豊作のネギを抱えて。収穫はいつでもうれしいものです。



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「トコトコ農園」は安全でおいしい野菜作りを楽しむことを目標にしています。
ご興味、ご関心をお持ちの方は、何なりとお気軽にお問い合わせください。
メール:support@ganbare-nougyoujin.org