初夏、皮をむくとトウモロコシがアワノメイガの食害にあい無残で汚らしい姿をさらす。
蛾の一種の冥蛾(メイガ)が卵を産みつけ、卵から孵った幼虫が雌花をつたうように中に入り込み、柔らかくて甘いコーンをかじり、その糞を汚らしくその場に撒き散らす。
農家にとっては商品価値を無にする憎っくき害虫である。
そして初秋、ダイコンやハクサイといったアブラナ科の新芽の中にもぐりこみ、一番柔らかくて美味しい芯を食べてしまう芯食い虫もまた冥蛾(メイガ)の仲間だ。
「トコトコ農園」では一切農薬を使用していない。
そのため、芯食い虫の駆除は人の目と手で一株づつ確認しながらつぶしていく。芯の中心を指で傷めないように注意しながら探ると1ミリくらいの幼虫が芯の中にもぐりこんでいる。それを親指と人差し指の爪で引っ張り出す。細心の観察力とじっと膝を曲げて屈みこむ忍耐力が求められる。
すべて駆除したと思っても必ずといっていいほど取り残しが出てくる。完全に駆除するまで毎日同じ作業を繰り返す。
芯食い虫は本来暖地系の虫で高温少雨の年に多く発生する。今年の夏はあいにくその高温少雨にあい、被害が広がった。
葉の成長点である芯を食われた株は正常に育たない。早めに抜いて種を播きなおすしか策がない。あるいは予防策として網目状のネットで種まきや苗の移植の段階で畝全体をすっぽり覆い、成虫の蛾の侵入を防ぐしかない。
それにしても人間にとっては悪魔のような存在だ。悪魔のすむ冥界からこの世に送り込まれた虫という意味で「冥蛾」と名づけたのだろうか。とすれば名づけた人の怨念がにじみ出てくるネーミングである。
ここ何年来、温暖化の影響だろう気温の上昇と少雨の傾向が続く。
冷涼な天候を好む秋冬野菜の栽培を今年は少し変更してみた。いままでは必ずといっていいほどビニールマルチを使用していたが、地温が上がりすぎて、苗が溶けたり種の発芽に障害がでてきたので、マルチは使わず、直播をしてみた。播き方は筋蒔きもしくは点播きである。
また少雨対策として、畝は高くせず平畝にしている。高畝だと降った雨がたまりにくくなるからだ。
先週からホウレンソウ、小松菜、コカブ、聖護院かぶら、ミズナなどはすべてこのやり方で種まきしたが、いまのところ台風の影響から要所要所でまとまった雨が降ったせいもあり順調に発芽してきた。ここ数日気温も下がり気味で、特に最低気温が大きく下がってきた。このまま本格的な秋に移り、寒暖の差が大きくなれば野菜も甘みも増す。
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