3年前に知人から分けてもらったラッキョウを繰り返し毎年栽培している。
今年も順調に収獲することができて全会員35名に分配した。そして残りを来年用の種として残しておいたものを9月になって早々に移植した。
ラッキョウはユリ科ネギ族に属し、きわめて強い種類だ。特に肥料を入れることもせず、株間10センチの間隔でどんどん種を植えていく。ラッキョウの一大産地は砂丘で有名な鳥取だが、痩せた砂地でもよく育つ。
ラッキョウは正確には種ではなく地下の球で増え、たまねぎと同様に地下の鱗茎が肥大した部分を食用にし、収獲した後、乾燥させて来年用の種に残しておく。
今年は9月2日に写真のように女性会員が一列になって等間隔でラッキョウを土に埋めていくのだが、その様子はイネを田んぼに植えていく「田植え」を連想させる。
ラッキョウは冬を超えて春になるとニョキニョキと茎が伸びてきて、6月頃に小さな白い可愛い花を咲かせる。種類によっては紫色の花もある。
ラッキョウの収獲のサインはタマネギと同じように茎が枯れたときだ。
ひとつの球からだいたい3〜4個収獲できるので、年を追って収穫量は増えていく。ラッキョウは実に効率的というか経済的な作物だ。
年を越し手間がかからない分、畑の端のほうに植えておくのだが、ついつい育てていることを忘れてしまい、気づくと雑草が生い茂ったなかでけなげに育っている。あまりに申し訳なくてときどき雑草を抜いてご機嫌をとっている。
収獲したラッキョウは土を落とし薄皮をむき、味噌をつけて食べるのが一番てっとり早い食べ方だ。ピリッとしたネギ族独特の香りとあいまって、酒の肴にうってつけだ。
ちょうどエシャロットのような食感である。ただ日本で「エシャロット」と呼ばれて市場に出でいるものは、実はラッキョウを深植えして早どりしたもので、フランス料理などによく使われる「エシャロット」とは全く別ものだそうだ。
まだ試したことがないが「日本」風エシャロットはらっきょうの生育途中で、長く伸びた茎に約10cmくらい土寄せする。こうすることによって茎が白く柔らかく育ち食用部分が多くなるそうだ。
ラッキョウは原産地は中国で、食用として認知されたのは案外新しく、明治初期、自家用として福井県や鳥取県、鹿児島県などでらっきょうの栽培が始まった。
そしてラッキョウ漬けとしてポピュラーになったのが三木のり平のキャラクター漫画のTVコマーシャルだ。東京・京橋の桃屋がびん詰ラッキョウの漬物「桃屋の花らっきょう」を発売し、ラッキョウの漬物は全国に知られるようになった。
ラッキョウの漬物は「福神漬け」とならんでカレーの付け合せとしてお馴染だ。カレーの辛さに舌が麻痺したとき、箸休めのように食べるとカレーの旨さがふたたび戻ってきて、食欲を増進させる役割を果たしている。
カレーに福神漬けとらっきょうが付け合せに出てくるのは関東だけのローカルルールでなのだろうか。
地方に観光旅行するときはせっかくだからと日頃食べられないその土地の名物やちょっと贅沢な食事をしがちで、日常的なカレーを食べる人は多くないだろう。
もしかするとその土地土地で独特のカレーを食べさせるところがあるかもしれない。
ただ昔から見知らぬ土地の見知らぬ店で、しかもその店が小じゃれたレストラン風ではなく、丼物からラーメン、そばうどんの類まで何でも屋の店に運悪く入ってしまったときには、「カレーを注文せよ」という格言(?)がある。つまりカレーは当たり外れのない食べ物という共通認識がある。
家庭ではほんのすこし前までS&B食品のカレー粉の「赤缶」を使い、小麦粉にバターを加えよく鍋で炒り、最後に牛乳を入れてペースト状にしてからカレー粉をいれてルーをお好みで作っていた。
しかし、この自家製カレールーも食品会社が競って作り始めてからカレーは一挙に国民食に上り詰めてしまった。
味も辛さも特徴もさまざまなカレールーが販売され、料理へたな男性でも唯一カレーは作れるし、誰が作ってもそれなりの味に仕上がる。
「おせちもいいけどカレーもね」
流行したコマーシャルソングが言い表しているように、カレーが国民食の代表格「おせち」に堂々立ち向かうまでの地位を占めたのが昭和40年代の中ごろだった。
「インド人もびっくり」させた日本のカレーはとうとう中国人にも好まれ、食べられるようになった。
また横須賀の「海軍カレー」がカレーの元祖として注目されているが、常に急を要する軍隊においてカレーが採用されたように、忙しい昨今の主婦がパパッと調理できて、しかも子供に喜ばれることがなおいっそうカレー人気を支えている。肉に数種類の野菜が入って栄養バランスがいいこともカレーが広まった要素だろう。
ただ残念なことには特に子供はラッキョウ漬けの独特の臭いが苦手のようで、食卓に出すだけで嫌がるらしい。
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