週末になると必ずといっていいほど天候が崩れ、とうとう6週続けての雨だ。
今年は都下青梅の梅林は早咲き品種が3月末時点でまだ三分咲き、遅咲きの品種は開花もしていない。
この寒さの原因が温暖化の影響というから素人にはトンと理解しがたい。
「トコトコ農園」の作業日は毎週火曜と土曜だが、土曜グループはほぼ1ヵ月半まともな作業ができないままきている。その間、雨のなかでも可能な作業を選びながら会員には出てきてもらっている。雨の中でもできる作業とは育苗室内で春野菜の種をポットに播く作業だ。
どんより分厚い雲、冷たい雨が育苗小屋の屋根をたたく。その音を聞きながらもくもくと小さな種をポットに播く。
キャベツやブロッコリーの種の大きさは極小の部類に入るので、神経を集中して作業を進める。必然的に誰も一言も発することなく静かなものである。
普段、収獲作業は華やいだ気分でおしゃべりをしながらの作業だが、種まき作業はそういう雰囲気はもともと少ない。しゃがみこんだ姿勢をとり続け、視力が落ちた人には小さな種を一粒一粒穴の中に落とし込んでいく作業は肉体的にもきつい。
そしてこの雨の中の種まき作業はなお一層のこと、うきうきした気分にはなれない。この天候でうまく発芽するかどうか、一抹の不安を抱えながらの作業なのでなおさらだ。
明日から4月になる3月最終の土曜は予報によれば午前中遅く雨が降るというものだった。それなら雨が降り出す前にさっさとやるべきことを済ましてしまおうともくもくと動いていると予定していた総ての作業が10時前には終えることができた。
雨は降り出す様子も無く、コマツナとコカブの種まきをやろうとしたとき、強い南風が吹き出した。黄砂を連想させるようなもうもうとした土煙で、目を開けていられない。十数メートル先が土煙で見えないほど突風が吹き荒れている。雨が降らないと思ったら今度は強風で作業を邪魔された。
今年から作業の開始時間を30分繰り上げ、8時半に変更した。理由は耕作面積の増加に対応するためである。
昨年、離れた場所に2反(600坪)の畑が加わり、第2農園と名づけた。主に手がかからず、かつ生育期間の比較的長いカボチャ、ニンジン、スイカ、サツマイモといったものを第2農園で作った。そのため第2農園への移動時間と作業量の増加により時間内(作業は原則午前中に終わらせる)で作業が終わらないことが多かった。その反省から今年から集合時間を早めて30分の作業時間延長を決めたのである。
会員の中で比較的若い人から時間が許すなら午後まで作業をしてもいいのでは、という提案があった。しかし気候の良い春先や晩秋ならともかく、夏の炎天下での作業はかなりつらいし、熱中症も怖い。現に一昨年、大事には至らなかったが4人ほど暑さで軽いめまいを起こしたことがあった。
6週続けての雨を理由に土曜の作業を中止してしまうと、必然的に火曜の作業にしわ寄せがきてしまう。このあたりの作業の配分バランスが難しい。
春のメイン作業といえばジャガイモの植え付けがある。
春の陽気を全身で満喫しながら、今年も畑の作業が始まるという高揚感、そして6月の収獲風景を連想しながらの作業は楽しいものだ。その喜びを会員全員が味わうように毎年、火曜と土曜にジャガイモの植え付けを分けて行うようにしてきたが、今年はとうとう土曜グループは雨のためにジャガイモの植え付けができなかった。
土曜グループがポットに播いた種のうちブロッコリー、キャベツ、サニーレタスは寒さで遅れ気味だったが、ここにきて平年並みの暖かい日が何日か続いたことで本葉が出始めた。あと少しで畑に移植できるまでに育ってきている。そうでないと育苗室内はトマト、ピーマン、キュウリの種も播いたので、もう満杯状態になりつつある。
一方、畑の状態といえば昨年にまいた豆類(キヌサヤ、スナップエンドウ、ソラマメ)が順調に育ちツルをからませるためのネットを先週火曜日に張った。もうしばらくすれば豆類特有の白くて小さな花が咲き始めるだろう。
豆の程近いとこには菜花目当てで収穫せずにそのままにしておいた山東菜(ベカナ)に花がつき始めた。菜花は茹でると濃い緑がいっそう鮮やかで、柔らかくほんのりした苦味があって春特有の味を堪能できる。
また3月早々に播いたニンジンとダイコンが芽を出し始めた。
明け方はまだまだ気温が低い。しかし土のなかに手を差し込むとひんやりした外気温に比べ、ぽかぽかである。土の中にはいち早く春がやってきている。
畑が賑わうのも、もうすこし時間がかかりそうだ。
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