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農のある暮らし

2011年8月5日 更新

第2章 働き方を考える

半分はボランティア、半分は営利活動


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サラリーマンが気楽な稼業だった時代はとっくに終わっています。

グローバル化の波に洗われ学生の新規採用枠に外国人を一定の割合で採用する企業が増えてきました。社内の公用語を英語にした企業もちらほら現れてきています。現在の新入社員は入社前から厳しい競争を強いられ、私たちが社会に出た昭和40年代後半の古きよき時代からは考えられないほど企業を取り巻く環境は激変してきました。

いまから10年ほど前と記憶していますが、ある企業の若い女性社員の話にとても驚いたことを思い出します。これからの自分たち若い世代は年金をあてに出来ない世代で、将来不安を抱えているというのです。

団塊世代が社会にでたとき、年金という言葉と自分たちの老後を思い浮かべた人は何人いたでしょうか?

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経済成長とともに給与は確実に右肩上がりになり、千万円単位の住宅ローンという借金が年収の増加とインフレの関係で相対的に目減りして、ほとんど家計を圧迫することがない時代でした。

一片の先行き不安を感じることもなく、気楽なサラリーマン稼業を続けてこられた私たちは幸運だったといえましょう。

個々人の事情により断定的には言えませんが、団塊世代が雇用延長で会社に居続けることは若い社員に迷惑をかけるのではないか、私などはそう考えてしまいます。しかし退職した途端、社会との接点を失い、人間関係が疎遠になることは疑いのない事実ですから、出来るかぎり働き続けたいという気持ちもわからないわけではありません。


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そこで思うのですが、働くということはイコール会社勤めなのでしょうか。

働き甲斐のある仕事、やってみたかった仕事、人から評価され感謝される仕事、そんな仕事を求めて働くことを考えてみたことがありますか?

私もまた退職後も働き続けたいと考えていましたが、再び会社勤めをしようとは全く考えませんでした。

私が思い描いていた退職後の働くイメージは「半分ボランティア、半分営利活動」でした。

具体的なことは思い浮かぶことなく、ただそうありたいと考えていました。

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このたびの東日本大震災で被災した地域へボランティアで支援活動を行った人たちが異口同音に言っていたことです。被災者を励ますために支援活動に加わったのに、逆に被災者から励まされ、勇気をもらったといっています。これはボランティア活動の不思議なメカニズムの一端を表しています。

次期検事総長の期待が大きかった元検事の堀田 力氏が突然退官しボランティア活動に転じたことはご存知のことと思います。

その堀田氏が常に言っていることですが、ボランティアが魅力的なのはボランティア活動をする側にも幸福感を満たしてくれること。そして「世のため人のため」は一方で「世のため自分のため」でもあるということです。

ボランティアを自己満足の偽善と考えるのはカビの生えた古臭い時代遅れの考えです。

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「半分ボランティア、半分営利活動」でなにを具体的にやるかはきまってはいなかったものの、形というか組織はNPOが一番ふさわしいと思っていました。

NPO、特定非営利活動法人の略ですがその存在を世間的にいまや知らない人はいません。しかしまだまだその活動内容を十分理解している人は少ないように感じます。

最も多い誤解は「非営利」ということで、利益を上げてはいけないと勘違いしているケースをよく見かけます。

NPOは活動で得た利益に対しては原則無税なので、むしろ利益を上げることを国や地方自治体が後押ししていると解釈できます。ただしその利益は翌期の活動原資として使うように指導されているのです。

一例ですが、上がった収益から理事や従業員に給与を出すことは全く問題がありません。ただし理事の決められた年間報酬を超えて利益のなかから特別賞与といった名目で期の途中で支払うことは出来ません。民間企業であれば利益還元として従業員に賞与などに上乗せしたり、役員には利益処分として特別賞与を出すこともできますが、NPOはその点で制限が設けられています。

NPOは原則無税ですがそれは認められている17の事業の範囲内という限定条件付です。

17事業以外の収益事業については普通に課税対象となります。

NPOの設立にあたっては会計士や税理士のような専門家にお金を払って依頼しなくとも、少し面倒ではありますが直接何度か行政当局に足を運び、承認までの時間はかかりますが設立手続きは素人でも十分出来ます。





※本レポート中の写真と本文の内容は直接関係はございません。