お知らせ

  • 前のページへ
  • 次のページへ

田舎暮らしのポイント

第9回 妻の説得


 ライターでご自身、Iターン実践者の山本一典氏の「夫婦いっしょに田舎暮らしを実現する本」を贈呈していただき、早速読ませてもらった。

 田舎暮らしを切望する夫にたいし、妻はあまり乗り気ではないケースが多い。そこで何とか妻を説得するための涙ぐましい、あれやこれやのノウハウがこの本につづられている。 一般的に夫はどうしても理が勝ちすぎて、現実的な妻に田舎暮らしの思いをうまく伝えることができない。夫の欠点は田舎暮らしを理想化しすぎて、現実感覚に一日の長がある妻をなかなかその気にさせることが下手だ。

 そこで妻の説得には気長に、それとなく田舎暮らしのTV番組を夫婦で見るのが効果的だそうだ。代表的な番組にTOKIOの「ザ!鉄腕!DASH」をあげている。この村は福島県の阿武隈山系の内陸部にあると聞いている。

 それはともかく、私はNHKの「鶴瓶の家族に乾杯」が好きで大概見ている。この番組の特色はごくフツーの田舎で、フツーの人たちの素顔が垣間見られることだ。観光地でもなんでもない、どこにでも見受けられる場所だが、旧知の土地のような不思議な親近感を覚える。

 田舎の良さを知るには自分自身が行動して見つけ出さねばならない。だから田舎暮らしをする人は好奇心旺盛で積極的な発想の持ち主が多い。この本で紹介されているある女性移住者の発言はその点で興味深い。

 「要するに都会の人は、既製品とかシステムを求めているのね。だから田舎には食べさせてくれる店がない、プログラムの豊富なカルチャーセンターがない、黙っていても連れてってくれるパック旅行がない、という風になる。お金を払えば他人がやってくれるのが当たり前で、主体的に動こうとする発想がないのよ(以下省略)」

 つまり明確な目的をもって田舎暮らしを考えないと、単にのんびりした時間、感覚を求めるだけになった、すぐに飽きてしまう。あるいは田舎暮らしが地域の共同作業とか冠婚葬祭の付き合いとか、雑草との熾烈な追いかけっこで、意外に忙しいことにビックリしてしまうだろう。

 田舎暮らしは存外忙しい、ということを認識すること、そして楽しみは自ら作りだす積極性が求められる。

 田舎暮らしは理想が先行しても、受身でもうまくいかない。単純な結論かもしれないが、理想と現実がうまく折り合うためには、夫婦のコミュニケーションが不可欠ということだろう。

記事関連の写真

夫婦いっしょに田舎暮らしを実現する本