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環境適応力に優れ世界中で栽培される作物


 カボチャはウリ科の一年生果菜で、原産地は中南米とされています。南アジア説や北アフリカ説など諸説ありますが、近年メキシコの洞窟で紀元前6〜8世紀の地層からカボチャの種が発見され、中南米原産が定説となりました。気候・風土への適応力に優れているため世界中で栽培され、品種や変種が多い作物です。

 カボチャは15世紀後半、コロンブスによってヨーロッパに伝わったといわれています。そのわずか半世紀後、大分県に漂着したポルトガル船によって日本にも伝播しました。豊後国の大名・大友宗麟に献上されたカボチャが「カンボジア産」だったことから派生して、「かぼちゃ」と呼ばれるようになったそうです。

 江戸時代になると、カボチャは日本各地で栽培されるようになり、当時の百科事典『和漢三才図会』などにさまざまな呼称で紹介されています。中国から渡来したという意味で「南京瓜(なんきんうり)」や「唐茄子(とうなす)」、ポルトガル人がもたらしたという意味で「南蛮瓜(なんばんうり)」、ポルトガル語名から転じて「ぼうぶら」、形状が古くからある瓜に似ていることから「阿古陀瓜(あこだうり)」など枚挙にいとまがありません。それだけ庶民に親しまれた、育てやすくて栄養豊富な便利野菜だったといえましょう。

 ちなみに欧米でも、「パンプキン」「スクワッシュ」「マロー」「カショー」など、さまざまな名称で呼ばれています。


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