ネギと里芋
この二つの作物、一見するとなんのつながりもないように思われます。
料理の取り合わせとしての相性もないし、種類も似通っていない。ネギはユリ科で里芋はサトイモ科です。それでもあえて、「ネギと里芋」をテーマとしたのは、ある共通点があるからです。
それはどちらも栽培期間が長いという点です。ネギは苗から、サトイモは種芋の植え付けから6ヶ月を超える長い時間をかけて、じっくり生育し続けます。
「ネギと里芋」だけではなく、さまざまな作物がほぼ1年を通して私たちは手に入れることができます。日本は南北に長く、かつ列島の中央を背骨のように山脈が走っています。そのため、作物の栽培前線は南北へ、また低地から高地へと移動して収穫の時期がうまい具合にずれることで、長期間ひとつの種類を食べ続けることができるのです。地勢的な有利さだけではなく、輸送体制の充実、冷蔵技術の発達などの諸条件が重なり、いつでもどこでも全国の農産物がいながらにして手に入るというわけです。
ネギは4月5日に苗を定植しました。里芋はネギに遅れること11日あとの4月16日に種芋を植えました。そのときの様子を写真を交えてかいつまんで説明します。
ネギはご存知のように東西で食べる部位が異なります。西はネギの地上に出ている青い部分を食べますが、東は地中に隠れた茎の白い部分を好んで食べます。
したがって種類もさることながら栽培法も異なります。できるだけ土深く苗を植えるために機械を使ってV字型の溝を掘ります。その溝にあらかじめベルト状の紙製ポットで育てた苗をパレットから、芋ずる式に取り出し、そのまま掘った溝の底に置いていきます。次に紙製ポットが隠れる程度に土をかぶせていきます。これでネギの栽培作業はほぼ8割がた完了です。溝の底にか細い苗が一列に並び、両側には掘りあげた土が壁のように立っています。なんとなく中途半端に作業をやめてしまったように見えますが、これが実にネギを栽培するには理にかなっていることが、後々わかってきます。