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未利用のセルロースが地球を救う?


 中国、インドなど新興国を交え、先ごろ終了した洞爺湖サミット。

 地球温暖化、石油価格高騰、そして食糧問題は地球規模で目の前に突きつけられた難問です。

 石油や石炭などの化石燃料は数億年前に大気中の二酸化炭素を吸収、固定されたものです。今日私たちが化石燃料を使用することで数億年前の二酸化炭素を大気中に放出しているのです。石油に代わるエタノール製造の代表的原料としてアメリカではトウモロコシ、ブラジルではサトウキビ、欧州では甜菜が主に使われています。エタノールを燃焼すれば化石燃料と同様、二酸化炭素は大気中に放出されます。しかし、植物は生育時に大気中の二酸化炭素を吸収、固定しているので、全体的には大気中の二酸化炭素はプラスマイナスゼロとなりこの状態を「カーボンニュートラル」と呼んでいます。


 トウモロコシは食料として、あるいは家畜の飼料として食べられていますが、石油の代替エネルギーの原料として使われることに、特に食料の慢性的不足に悩まされているアフリカなどの国々から非難の声が上がっています。日本もトウモロコシ増産のしわ寄せで大豆や小麦、さらに肉や乳製品が高騰しています。

 植物を原料とするエタノールを生産効率の視点から見てみるとトウモロコシからエタノールを生産するエネルギーと作られたエタノールのエネルギーはほぼ同じといわれています。ちなみに甜菜は2倍、サトウキビは8倍だそうです。トウモロコシをエタノール原料として使う意味は果たしてあるのでしょうか、疑問が残ります。


 エタノールの原料は理論的にはセルロースを含む植物であれば何でも原料になるといわれています。セルロースは植物細胞の細胞壁ならびに繊維の主成分で植物の3分の1を占めて地球上に最も多く存在する炭水化物です。エタノールの原料としていま注目されているのが産業廃棄物である、オカラ、大豆の絞りかす、パルプや稲ワラ、古着などの綿製品です。特に綿はセルロースそのものといわれています。

 バイオ技術を使いある酵素でセルロースを糖分に分解して、微生物によってアルコール変換したものがエタノールです。


 <トウモロコシを超えるセルロース原料でエタノールの可能性を引き出す>

http://www.worldwatch-japan.org/NEWS/ecoeconomyupdate2005-2.html


 <セルロース系バイオマスからのエタノール製造新技術を共同開発>

http://www.honda.co.jp/news/2006/c060914.html


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