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グリーンツーリズムを考える


 先ごろ、埼玉県主導で県内の「グリーンツーリズム協議会(仮称)」の立ち上げが呼びかけられました。当NPOも呼びかけに応じて設立準備のための会合に参加してきました。

 会合には20団体を超える参加がありましたが、そこで出た議論の一つがグリーンツーリズムの名称そのものの的確性に関するものでした。


 農林水産省が1993年に提唱したグリーン・ツーリズムは「農山漁村地域において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動」として位置づけられました。

 しかしグリーンツーリズムの認知度は各種アンケートを見ても低いといわざるを得ません。

 5年前に実施されたあるアンケートによれば「知らない」と答えた人と「聞いたことがある」という程度の人を合わせた割合は69%に達しています。概念を理解したうえでかつ体験した人はわずか3%にすぎません。

 しかしグリーンツーリズムの認知度の低さに関しては担い手側、すなわち農家の人達も五十歩百歩です。

 都会の人達が農家の果樹畑に入り、ナシやブドウ、りんごなどを自分で収穫する観光農家は正真正銘のグリーンツーリズムの実践者でした。しかし自分のやってきたことが結果としてグリーンツーリズムだった、というのが本音でしょう。

 グリーンツーリズムの本家、ヨーロッパに比べ日本のグリーンツーリズムがいま一歩、前進しないのは歴史、文化、慣習の違いが大きいと考えられます。フランスではまとまった長期休暇がバカンス法により保障されています。かたや勤勉が美徳とされてきた日本人は休暇を後ろめたいものと考えてきました。また農村は閉鎖的社会でよそ者を受け入れることに長らく不寛容でした。ヨーロッパ型のグリーンツーリズムが日本に定着しない大きなわけがこのあたりにあると思われます。


 しかし、今日地球環境問題が温暖化による自然災害の多発、食糧不足による食品値上げなどを契機に身近な問題として意識されるようになりました。その結果私たちの内部に自然に対する意識、接し方に大きな変化がおきています。


 ヨーロッパ型でもなく、行政主導型でもない日本型グリーンツーリズムが求められています。日本型グリーンツーリズムには「休暇」や「ゆとり」、「遊び」のような要素より、もっとも現実的な「食」がキーワードになるような気がしています。


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編集後記

 先週の日曜日、江戸東京博物館で開催された「森の“聞き書き甲子園”フォーラム」という催しに出かけてきました。

 林野庁、文部科学省、国土緑化機構、NPO法人樹木などが主催するこのフォーラム、具体的にどんなことをしているかというと、毎年100人の「森の名手・名人」を選定するとともに、100人の高校生を募集し、名人の森に生きる知恵や技を高校生が直接に取材して「聞き書き」という手法で記録するという活動です。

 今年で6回目を迎えたフォーラムですが、成果発表では4人の高校生と名人が選ばれ、エッセイストの阿川佐和子さんと作家の塩野米松さんの司会・解説よろしきを得て、高校生と名人のやりとりは、それなりに味わいのある内容でした。

 今回、特に印象的だったのは84歳のそま師の聞き書き。すでに日本で最後のそま師だそうです。そまとは、家を建てるときに柱より上へ小屋組を組んで、屋根の形をつくるのに必要なノモノ(角材)をつくること。製材所で機械で曲がりをすべて排除したきれいな角材にするのと違い、曲がりを生かして角材にするから強度が落ちないという。司会の塩野米松さんによると、この角材があったがゆえに、今、古民家と言われているような家が100年以上も耐えることができたという。その仕事が消えるということは、そうした文化の土台が消えること、といったコメントが心に残りました。


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