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ハーブとしての高い薬効


 シソで注目すべきは、ハーブとしての高い薬効です。古来、発汗剤・解熱剤・鎮痛剤・鎮静剤・解毒剤として使われてきました。爽快な香りのもとであるペリルアルデヒドは、胃液の分泌をうながす食欲増進・健胃作用があるといわれています。また昔からシソが刺身のツマや薬味として使われてきたように、ペリルアルデヒドは強い防腐・殺菌作用を持ち、食中毒の予防にも役立ちます。さらに、シソに含まれるαリノレン酸は、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状を緩和するといわれ、青ジソに豊富なβカロチンは、体内でビタミンAに変わって粘膜や皮膚の抵抗力を強化します。βカロチンには抗酸化作用があり、同様の効果があるビタミンCも多く含まれているので、がん予防の効果も期待できます。そのほか、シソには精神安定作用のあるカルシウムが多く、うつ・ノイローゼ・ストレスなど、現代人特有の病気対策にも有効だといわれています。

 江戸時代に貝原益軒が著した『大和本草』などによると、シソは去痰の妙薬といわれ、喘咳・鎮咳・発汗・鎮痛・解熱・気管支炎・胃腸炎・食欲増進・消化促進・健胃・利尿・精神安定・貧血・魚肉中毒の解毒などに奏功するとあります。漢方医学では、おもに赤ジソの葉を「蘇葉(そよう)」または「紫蘇葉(しそよう)」といい、理気薬(気が停滞している状態を精神の安定などで改善する薬)として配合されます。ちなみに「蘇葉」の定義は、日本では狭義のシソまたはチリメンジソの葉および枝先としています。また漢方医学では、熟した果実を「蘇子(そし)」あるいは「紫蘇子(しそし)」といい、咳・喘息・便秘などの治療に用います。

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