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カロチンたっぷりの緑黄色野菜


 にんじんはカロチンがたっぷりの緑黄色野菜です。その豊富さは、カロチンという言葉が、にんじんの英名のキャロット(carrot)から派生したことからもわかります。にんじん50グラムほどで一日に必要なカロチンがとれるといわれています。

 中国ではにんじんを胡羅蔔(コロポウ)と表記し、日本でも江戸時代の農業全書では胡蘿蔔と書いてにんじんと読ませました。「胡」は西域・シルクロードあるいはその方面に住む蛮族を意味し、「蘿蔔」はだいこんを指します。中国では、胡瓜(きゅうり)・胡麻(ごま)・胡桃(くるみ)など、西域・シルクロードから伝わったものには「胡」の字をつける風習があったのです。

 もともと「にんじん」といえば、中国では高麗にんじん(朝鮮にんじん)を示す言葉でした。高麗にんじんは植物分類学上、セリ科である現在のにんじんとはまったく別のもので、貧血や精力減退に効果があることで名高いウコギ科の薬用植物です。中国から日本に伝えられる過程で、その形状が高麗にんじんと似ており、また同様の薬利効果もあるところから、一緒くたに「にんじん」と呼称されるようになりました。しかし、本来の高麗にんじんに対して区別する意味で、「菜にんじん」「畑にんじん」「芹にんじん」などの別称が生まれました。ところが栽培が普及すると、単に「にんじん」と言うと野菜のにんじんを指し、主客が転倒しました。

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