原油価格の高騰と食品値上げの連鎖
JA全中(全国農業協同組合中央会)は12月の理事会で、「配合飼料価格の高騰により畜産・酪農経営がさらに悪化し」その結果「安全・安心な国産畜産物を確保するためには、最終食品への価格転嫁を実現することが不可欠」との見解を明らかにして「消費者、流通・加工関係者に理解を求める」ことを確認しました。
原油価格の高騰はすでにガソリン、灯油の値上がりで企業経営や生活者の家計に大きな打撃を与えていますが、今後は肉や乳製品の値上がりが必至になります。
配合飼料価格の高騰の原因はバイオ燃料の原料として飼料用のとうもろこしが転用されたためで、今後原油高が続けばバイオ燃料の増産に拍車がかかります。
アメリカのコーンベルト地帯で作られる穀物はとうもろこしと大豆が中心ですが、大豆がとうもろこし増産のあおりを受けて生産減になることが予想されます。アメリカの農家はバイオ燃料の増産に伴い、農業所得のアップが見込まれますが、輸入大豆に頼りきっている日本は豆腐、味噌、納豆などの伝統的食品が軒並み値上がりしてしまうでしょう。
食糧の海外依存によって、国内自給率を下げ続けてきましたが、来年以降さまざまな食品の値上げという形でそのつけがまわってきます。金さえ出せば食糧は手に入る、という時代はそう遠くない時期に終わるかもしれません。