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「吉見百穴」の町はいちごの町


 埼玉県比企郡吉見町から連想するものは岩肌に無数の穴がうがたれた「吉見百穴」である。蜂の巣のような穴はいまから1600年前の古墳時代末期の横穴墳墓跡で、小学校の遠足先として近県からも訪れる人は多い。


 この吉見町に「道の駅・いちごの里よしみ」が平成17年4月にオープンした。

 関越自動車道の東松山インターから鴻巣方面へ7キロメートル走ると、三国コカコーラの事業所前に「道の駅・いちごの里よしみ」がある。東武東上線の東松山駅からバスでもいける交通至便な場所にある。

 昨年度、人口2万2千人の町の「道の駅・いちごの里吉見」に、100万人あまりの客が訪れた。その目的の第一が「いちご」である。いちごのシーズンは1月中旬からゴールデンウイークまでだが、休日の開店前には朝取りの新鮮で甘いいちご目当てに100名を越える客が並ぶほどの人気だ。9時半に店がオープンして10時には最初に用意した棚のいちごが売り切れてしまうほどである。

 一般的に道の駅は1月〜3月は来場者が極端に落ちるが、ここ「道の駅・いちごの里よしみ」はいちごの収穫最盛期と重なり合うため、逆に年間で最も来場者数が多いという。


 人気のいちごはJA吉見直売所で販売されているが、シーズン中には道の駅施設内の「いちごハウス」でイチゴ摘みが楽しめる。土日限定でハウス内のいちごが30分の制限時間内で食べ放題というからこちらも楽しみだ。ただし10時に開店して10時半には入場締め切りになってしまう。需要に供給が追いつかないのがうれしい悩みだ。

 ハウス内を見学させてもらおうと思ったが、あいにく責任者不在で実現しなかった。実はこの「いちごハウス」は新規就農者のための研修施設を兼ねた観光農園として作られたもので、3年の研修期間を終えた就農者第1号が誕生し、現在二人目の若者が新規就農めざして研修中である。

 町内には通年のいちご観光農園が現在5ヶ所しかないが、シーズン中、期間限定でのいちご摘みができる農園は多数ある。


 「道の駅・いちごの里よしみ」の中心施設は「いちごの里物産館」だが、この中には食堂、売店、加工施設、体験室が同居している。

 食堂のうどん、人気名物、いちご大福といちごジャム、そして手作り味噌の原材料はすべて町内で栽培・収穫されたものである。それを加工し販売する人達もすべて地元農家の人たちである。まさに「地産地消」そのものだ。


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「道の駅・いちごの里よしみ」の施設全体図

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食堂、売店、加工所、体験教室など主要施設が入る「いちごの里物産館」

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名物のいちご加工品を売っている売店

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地元産の小麦粉を使ったうどん

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食堂のうどんメニュー

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試食した地鶏うどん

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山菜漬け汁うどん