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オクラの実がなりました


 前号の発行日(6月11日)の朝、オクラのつぼみが突然開いた。

 可憐でちょっぴり高貴な色合いの花だ。

 4月7日に種まきしてから56日目の開花である。

 花の命は短くて、正午近くにはすでにしぼみ始め、翌朝には鉛筆のキャップのような形をした花が土の上に落ちていた。

 花が落ちた後には結実した実が丸い頭を覗かせている。高貴な感じの花の割りにはずいぶんせっかちで、おてんば娘のようだ。最初の開花から次々とほかの株にも花が咲き始まった。


 花が落ちてからちょうど1週間目の6月18日には見慣れたオクラの姿に限りなく近づいてきた。4日後の6月22日の朝、待望の収穫だ。

 特に肥料は与えずに育ててきたが、大きさ、色合い、粘り気、味もしっかりしている。粘り気の一方で新鮮なしゃきしゃき感があってとりたてはやはり旨い。

 第一次の収穫後に、化成肥料をまいて、次に収穫するオクラと肥料ゼロのオクラを比較してみようと思う。


 さて次は枝豆です。

 枝豆は5月18日に黒ポットとプランターに分けて種まきをした。プランターは小松菜の収穫後に化成肥料をすきこんでおいた土に直接種を播いた。一方黒ポット育ちの苗は新しいプランターに新しい土を入れただけで、化成肥料は一切使用していない。

 種まきからほぼ1ヵ月後のプランターの枝豆はすでに新しい葉がでてきて活発な発育ぶりを示している。

 黒ポットから移植したほうは少し成長が遅れ気味だ。化成肥料の差が出てきたのだろうか。結実するまでこのままの状態で見守るつもりだ。肥料の有無でどのような差が出てくるのか楽しみである。


 オクラで見たとおり、植物の成長は驚くほど早い。以前、茨城県筑波で有機栽培による「大葉」を作る農家を訪れた。午前中に摘み取らないと、午後には大振りになって商品に適さなくなる。午前中の作業のために手配したアルバイトの主婦が、何かの拍子で午後にずれると、もうお手上げだそうだ。むんむんするビニールハウス内での作業で大汗をかく。その汗が「大葉」にしたたり落ちると、塩分に弱い「大葉」はその部分がすぐに黒ずんでしまう。細心の注意を払いつつ、一枚一枚丁寧に摘み取るきつい作業だ。

 「大葉」は生命力の強い植物で、日陰を好み、知らぬ間にわが家の庭のあちこちから生えてきた。

 そのなかから健康そうな1本を引っこ抜いて鉢に移植した。

 きゅうりの塩もみ浅漬けに「大葉」をみじん切りにしてまぶせば、ぷーんと紫蘇独特の香りが暑い日の食欲もかき立てる。


>> 茂木清一 <<
1948年埼玉県生まれ。埼玉県美里町で農業を営む。元JA技術指導員。
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突然早朝に開いた
オクラの花

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翌朝にはしぼんで落ちてしまったオクラの花

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すくすく育つ
オクラの実

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初収穫の3本のオクラ

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次々と若葉が
顔をだす枝豆