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 2002年の残留農薬問題発生以後、中国産冷凍野菜の輸出産地は劇的な変化を遂げることになりました。それは、事態を重く捉えた中国中央政府機関の国家質量監督検査検疫総局(以下、総局とします)が「輸出野菜検査検疫管理弁法」を制定し、「輸出野菜栽培基地登録管理細則」(以下、中央政府細則)に沿って輸出野菜用の栽培基地を登録・監理することを義務付けるとともに、野菜輸出企業を実際に管理・監督する地方政府機関も細則に自省の現状を踏まえた通知を制定し、徹底した管理体制を構築するように働きかけたからです。

 そこで、今回は、中国の中央および地方政府機関が同問題に対してどのような対応を講じたのかについて、細則の内容の一部を事例にしながらお話しします。なお、地方政府機関の対応については、中国の主要な野菜輸出産地である山東省の検査検疫局が2003年8月に通知した「山東省輸出野菜栽培基地登記登録管理細則」(以下、山東省細則)を取り上げます。統計資料によると、2003年の中国における野菜の対外輸出金額は21.2億ドルですが、そのうち山東省の対外輸出金額は7.7億ドルと中国国内で最大規模にあります。

 総局の定める細則の内容は、@総則、A基地の登録条件、B申請に必要な資料、C審査・登録の進め方、D監督管理、の5つから成り立っています。なかでも注目を集めたのは、栽培基地の運営に関してであり、第5条において企業の申請する登録野菜栽培基地は、@周囲に汚染源があってはならないこと、A栽培面積は最低でも300ムー(20ha)を有していること、B基地毎に少なくとも1名の植物保護員を配置すること、C健全な農薬管理制度を有すること、D厳格な農地管理制度があること、E野菜の病虫害発生と予防に関する報告制度、およびそれに関する記録が存在すること、を条件として満たさなければならないとしています。

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