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調理中の整理・整頓も審査のポイント

 一夜明けて、決勝の当日は選手代表の宣誓に始まって、女子栄養大学内の授業用キッチンに移動、いよいよ郷土の代表として日頃の腕をふるうことなります。

 決勝では、各校の栄養士と調理師の2名がペアを組んで出場、1時間以内に調理から盛り付けまで5人分の給食をつくり、審査委員が調理工程や衛生面、味などを審査します。

 制限時間終了直前ともなると、キッチン・スタジアムには全国の方言が飛び交い、TVカメラを構えた取材の報道陣も加わり、緊迫感とあわただしい熱気がむんむん。ただ、こうした普段とは違う調理環境と5人分という少量の調理に戸惑うチームもあったようです。

 この調理の場面でとくに目立ったのが、調理の手際と整理・整頓。素人目で見ていると調理と同時に片付けが行われ、実際いま何がつくられ、何が出来上がっているのか、分からないくらい。それくらい調理台は常に綺麗に整理・整頓され、順次料理が出てきます。

 あっという間に制限時間の1時間はタイムアップ。残念ながら1チームが制限時間オーバーで失格となりましたが、11チームの作品が別室に移され、審査委員による厳正な審査を受けました。

 審査のポイントは見た目の評価、味とそのバランス、地域食材の活用、衛生管理と作業工程の効率などで総合的に評価が決まります。


感激と感動のフィナーレ

 そして、いよいよフィナーレ。成績発表です。

 結局、優勝は長野県伊那市の長谷学校給食共同調理場。献立は五穀ごはんやニジマス、野菜の和え物、りんごゼリーなど。地域の婦人グループが、低農薬野菜を安く提供してくれたり、わざわざクリの渋皮もむいてくれたりするなど、地元との連携も高く評価されたということでした。準優勝は香川県高松市の国分寺中学校。地元産物の積極的活用と効率的な調理工程などが評価されました。

 優勝した管理栄養士の埋橋恵美(うずはしめぐみ)さんは「過疎地域ですが、地域に守られていることを子供たちが誇りに思える献立を考えました」と優勝の喜びを語りましたが、他の受賞者も各々、今回のコンテスト出場への熱い想い、感謝と感激の気持ちなどを涙ながらに語り、会場に居合わせた多くの人たちをさわやかな感動の渦に包みました。

 見学者たちが異口同音に、さわやかないい催しだったと語った「全国学校給食」コンテスト。既存の商業化されたイベントとは、一味違う手作りの心温まる雰囲気であらためて“学校給食の意義と効用”を深く考えさせてくれました。次回は、今回ほとんど参加しなかった東京都の給食施設も参加するとのこと。ますます、楽しみな展開となりそうです。

 最後に、このユニークにして意義ある催しの事務局長として実務を担当された(株)カイトの道川勇雄氏に「学校給食甲子園」立ち上げの背景、いきさつなどについてレポートいただいたので、付記させていただきました。

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コンテスト当日、選手宣誓の後、いざ出陣!

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白飯、牛乳、粉わかめ、温泉かれいとトラエビの香り揚げ、ひじきのマリネ、片野の鴨汁、クコとキウイのミルクゼリー

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千葉県匝瑳市
野栄学校給食センター
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静岡県静岡市立
清水有度第一小学校
桜えびのちらし寿司、牛乳、駿河汁、切干し大根のピーナッツ和え