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塩は昔から専売製品だった?


 中国では前漢時代より塩の専売が行われており、2000年にわたる皇帝支配の財政的基盤となりました。日本では江戸時代に赤穂藩などが塩の専売を行って繁栄していた事例もあり、明治政府は日露戦争などの財源確保のために塩に着目します。当初、塩税案が出されましたが、これに反対する人たちによって塩の専売制というかたちに落ち着きました。当時は食塩としての需要がほとんどでしたが、第二次世界大戦以降、化学工業の発展にともなって工業用原料としての塩の需要が急増します。そのため、イオン交換膜法で工業用の塩が製造されるようになりました。しかし、それでも供給が追いつかないため、塩の輸入が認められるようになるなど、少しずつ専売制に変化が出てきます。その後、1985年に日本専売公社が民営化して日本たばこ産業(JT)になると、塩の販売も専売制から徐々に自由に販売できるようになりました。1997年4月には塩の専売制が廃止され、JTの塩事業は財団法人塩事業センターに移管され、塩事業法の経過措置が終了した2002年4月には、塩の販売は完全に自由化されました。

世界の塩の70%は岩塩


 日本では海水から塩を製造しているので、塩は海水からつくると思いがちですが、世界の塩の約70%は岩塩です。岩塩は、かつて海だったところが地殻変動などで陸地に取り残され、干上がって濃縮結晶して地中で圧縮されたもので、重金属などを含んでいることもあり、多くはいったん水に溶かして再結晶させたものを利用します。地下水が岩塩層を溶かして(地下鹹水)、塩泉として地表に噴出することもあります。

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